『皆既月食』11月8日は皆既月食!ギネス公認世界一のプラネタリウムで活躍する専門家が分かりやすく教える、見どころ&楽しみ方



月食とは、月に地球の影が落ちることで、暗くなったり欠けたように見えたりする現象のこと。なかでも、月がすっぽりと地球の影に覆われる現象を、皆既月食と呼ぶ。2022年11月8日(火)には、日本で絶好の観測条件を備えた皆既月食が起こる。

【写真】11月8日(火)の皆既月食の進行例。地域によって高度や方角が多少異なる

そこで、今回の皆既月食の見どころを、プラネタリウム解説者の毛利勝廣さんに伺った。毛利さんは、ギネス公認の世界最大のプラネタリウムを備える「名古屋市科学館」(愛知県名古屋市)で天文主幹を務める星空解説のプロだ。

■皆既月食は初心者でも観測しやすい
まず、今回の皆既月食をおすすめする大きな理由として、「観測しやすい時間帯と高度」が挙げられる。日本では、北海道から沖縄まで全国でほぼ同じように観測できる。

「今回の場合、日本では宵の口から月食が始まるので、圧倒的に観測しやすい時間帯ですね(たとえばハワイでは夜中から、ロサンゼルスでは明け方から)。空が暗くなって月が上りはじめ、ビルなどの影から出てくるかどうか、というころから欠けはじめます。時間は18時9分です。だんだんと月が上り、十分高くなった19時16分から、完全に地球の影に隠れる“皆既”がスタート。20時42分まで、実に1時間26分もの間、皆既が続きます。高度も約40度と、ちょうど見上げやすい位置。それからまただんだんと月が欠けていき、21時49分に月食が終了。夜更かししなくても、完璧な形で皆既月食を観測できるんです」

■特別な道具などの準備は不要!
また、皆既月食は「観測する見るための特別な準備がいらないこと」が、初心者でも気軽に楽しみやすいポイント。普段の月と同じように、ただ空を眺めるだけでいい。

「今回の月食は東の空で起こりますので、準備として強いて挙げるとすれば、東の空が開けた場所を事前にチェックしておくことくらいでしょうか。肉眼で十分見えますので、手ぶらで大丈夫です。大きな月をじっくり観察したいという人は、双眼鏡やオペラグラスを用意するといいでしょう。天体望遠鏡のような本格的な装備は必要ありません」

また、皆既中の赤い月を写真に収めたい人は、望遠レンズを用意するといい。双眼鏡にスマホをくっつけて撮影するだけでも、うまくいけばきれいな赤い月を撮影できる。

■なぜ月が赤く見えるのか?
皆既月食の一番の見どころは、神秘的な赤い色だろう。なぜ皆既月食では月が赤く見えるのだろうか。

「それはずばり、地球に空気があるからです。光というのは、波長が短いものは青く、波長が長いものは赤く見えます。そして、空気というのは窒素や酸素といった小さな粒でできています。光が空気の中を通るとき、この小さな粒にぶつかって散乱してしまうのですが、波長の短い光(青や紫)ほどぶつかりやすいのです。空気中を進む途中で波長の短い光は散ってしまいますから、最後まで残るのは波長の長い光(赤やオレンジ)になります。そして、地球は丸いので、空気の層のへりも丸い。これが大きな凸レンズのような役割を果たして、結果として最後まで残っていた波長の長い光が曲げられ、皆既中の月に当たるのです」

実は夕日が赤く見える原理も、同じく波長の長い光だけが残った状態になるから。月食の日は、直前の夕日の色を見ておくのもおすすめ。夕焼けで空を赤く染める光と、月食で月を赤く染める光は、同じものなのだ。

■月に落ちるのは、地球の丸みがわかる影
皆既月食を見る際にもう1つ注目してほしいポイントがある。それは、欠けているときの影の形だ。

「月食の欠け方は、普通の月の満ち欠けとは違います。普通の月の満ち欠けでは、三日月、円を直線で割ったような半月、そこからだんだん膨らんで円になろうとする十三夜など、どんどん形が変わっていきます。ところが、月食の欠け際の“丸み”は地球の“丸み”なので、同じカーブのまま影がどんどん広がっていき、月を完全に覆い隠し、少しずつ影が去っていくように月の明かりが戻っていきます。月が欠けていくときと元に戻っていくときは、ぜひこの影に注目して見てください」

毛利さんが所属する名古屋市科学館では、公式YouTubeチャンネルにて、プラネタリウム解説者による皆既月食の生解説付きライブ中継を行う。皆既月食は日本全国でほぼ同じように見られるので、ぜひスマホやタブレットを片手に実際の空を見上げてほしい。

Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/326d84be124fa8b2c1e02de33360e9573416aa19

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