『箱根駅伝・往路』「山の妖精」城西大・山本唯翔4人抜き区間新記録「取る自信ありました」21秒更新


東京箱根間往復大学駅伝競走(とうきょうはこねかんおうふくだいがくえきでんきょうそう)は、1920年から毎年1月2日と1月3日の2日間で開催する関東地方の大学駅伝の競技会(地方大会)である。関東学生陸上競技連盟(以下「関東学連」という。)が主催し読売新聞社が共催する。箱根駅伝
260キロバイト (35,063 語) - 2023年1月2日 (月) 10:51



<第99回箱根駅伝>◇2023年1月2、3日◇東京~箱根間往復(10区間、往路107・5キロ、復路109・6キロ=往復217・1キロ)

 今年は「山の妖精」だ。5区(20・8キロ、小田原~芦ノ湖)で城西大の山本唯翔(3年)が1時間10分4秒の区間新記録を樹立した。

 4人抜きでチームを9位に押し上げ、宮下隼人(東洋大)が20年にマークした従来記録を21秒更新。昨年の予選会敗退から2年ぶり出場で借りを返した。5区の区間賞は同校初。5年ぶりシード権獲得へ希望を残した。

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 山道も浮遊しているようだった。大平台のヘアピンカーブを軽やかに登る山本に、背走車の櫛部静二監督から声が飛ぶ。「『山の神』じゃなくていい。『山の妖精』になろうぜ」。20キロのうち16キロある坂道も前傾姿勢で苦にしない。13位でタスキを受けると飛ばし、山梨学院大、明大、東海大を抜く。創価大も振り切ってシード圏内9位まで押し上げると、自身に拍手して芦ノ湖のテープを切った。

 「区間賞を取る自信はありました」。強い自負もレース後の語り口は柔らかで「妖精だ」とSNSのトレンド入り。実際、穏やかな物腰から仲間に「妖精」と呼ばれるが「去年悔しい思いをして、今年は絶対に箱根を走る気持ちで練習してきました」。言葉通り、前々回は同じ5区を1年ながら6位と健闘も、チームは16位。昨年は予選会15位に沈んだ。表舞台から消えても5区を意識して坂道を走り込み「区間新までは…」と驚く飛躍が待っていた。

 名の通り「山」で「本」領を示した。新潟・十日町市生まれ。標高差が2010メートルから80メートルまで幅広い豪雪地帯で、憧れたのはテレビ越しの山登りだった。「柏原(竜二)さんや神野(大地)さんの走りを見て5区を走りたい気持ちが芽生え、今まで頑張ってきました」。歴代「山の神」に胸を躍らせ、急勾配で知られる松代地区を走り育った。

 箱根も最高874メートルに寒暖差ある難所だが、体は覚えていた。各校のスペシャリストが集う昨年11月の前哨戦「激坂最速王決定戦」登りの部も2位。今年の5区ランナー最速で、迎えた箱根路で区間新。かつての神の時代とコースこそ違えど、区間記録を21秒更新する妖精となり羽ばたいた。

 箱根神社の鳥居では本競走の大ファンという祖父の応援を受けた。「『頑張れよ』という声が聞こえたのでガッツポーズで応えました。おじいちゃんの前で好走できて良かった」。優しい。目標の18年以来となるシード権へ「チームも笑顔で終われたら」と最後まで穏やかだった。【木下淳】

 ◆山本唯翔(やまもと・ゆいと)2001年(平13)5月16日、新潟県十日町市生まれ。松代中から開志国際高。城西大1年時の5区は1時間13分3秒。2年で2分59秒も縮め、同校で5人目(5区は初)の区間賞。1万メートルの自己記録は28分25秒21でチーム1位。168センチ、51キロ。血液型A。


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